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原石のサイコロ

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『戦場からは逃れられんか』双月蒼羽、『ボクは生まれそして気づk(ry』星咬十六夜、『決めるぜ下克上!』守岳詠人、『( ゚д゚ )彡そう!』シャープの四人による、お金が足りない奴らのブログ

ある日のある人のある帰り道

ただ、前だけを見て走り続ける。激しく鼓動が波打ち、息が上がる。
……あいつらはどこまで追い掛けてくる気だろうか?
……僕が何かしたのだろうか?

疑問が次から次へと泉の様に湧いて来るが、いかんせん情報が足りない。なし崩し的に、僕はその思考を放棄した。

今日の予定を思い浮かべたのを最後にして…。





あの時、仕事が終わった僕は、電車に乗るために街を歩いていた。
暫く歩くと、いつもより人通りが多い事に気付いた。そこで僕は、人混みを避けるのと近道を兼ねて路地裏に入った。
……どうやらそれが分かれ道だったらしい。

今日のブログのネタを考えつつ、歩くこと数分…気付いたら、統一性の全く無い、バラバラの服装をした集団と遭遇した。

「………」

全員が僕を見ている。その視線に耐えられなくなった僕はその集団をから離れようと今来た道を戻ろうとした。

だが…

「ルーラーさんですね?」

集団の中の一人が僕に確認をとってきた。

「そうですが…何か?」

間違いではないので、肯定の返事をする。

「私達は貴方にプレゼントを持ってきたのです」

…怪しい。はっきり言って、信用ならない。

「それで、まずは…」

そう言うと、全員が懐から黒光りする物を…

そこで、僕は逃げ出した。
あのまま逃げずにいたら、どうなっていたか…それは、考えるまでもないからだ。





迷路の様に入り組んだ路地裏を疾走する。右へ左へ、不規則に曲がる。
それでも、奴らは追い掛けて来る。

「……?」

ふと、僕は違和感を感じた。人が……減っている?
そう考えた瞬間、前方にやつらの一味らしき人を確認した。

「……ッ!」

……マズイ、このままだと殺られる。
そう考えた瞬間、僕の体は右方向に飛び、移動の向きを変えた。

目に入ったのは、まさに山積みになっている空き缶箱。

……この程度で転ぶ程馬鹿ではないだろうが、足止めにはなるかな?
そう考え、箱を蹴り飛ばす。当然、派手な音と共に中の缶が撒き散らされる。これなら足止めを食わせやすい。
そこまで確認し、僕は再度走り出す。

「うわわっ!?」

「わっ!」

……馬鹿がいた。

「指令!? 射手も!?」

「ぐおっ!?」

「切り込み隊長ー!」


……馬鹿が3人いる。そう考えながら後ろを振り替える。

「クソッ! 仕方ない、皆! 俺達の屍を超えて行くんだっ!」

「では、遠慮なく、容赦なく、躊躇なく踏ませてもらいます!」

「ぐふっ!」

「うごっ!」

「ふぐっ! あぐっ!……誰だよ! 2回も踏んだの!

ふぐっ!?……って、転んだ3人を踏んで行ってる!
3人は恨めしそうな顔してるし……って!

思考している最中足を止めていたため、3人を踏み越えてきた数人が迫ってきている。


僕は再び走りだす。やつらも追い掛けてくる。

……再び追い駆けっこが始まった。





再び走りだし、数分が経過した。短いようで長い、数分間。
ここまで全力で走ったのは久しぶりかもしれない。
追っ手は振り切った。ここは周りが見える様、十字になった路地。あとはここから脱出するだけ……

タタタタタタッ!

――なっ!
まさか、もう来たのか? 僕は相当走った。追っ手は振り切ったはず…。……せめてもう暫くもってくれても良さそうなものなんだけどな…。

タタタタタタタタッ!

仕方なしに、再び走り出そうとする。しかし……

「ぐっ!」

足に力が入らない。……それはそうだ。普段使わないような筋肉を短時間で酷使した。悲鳴を上げない方がおかしい。

タタタタタタタタタタタタッ!

足音の主達は、僕の右方向から、着実にこちらへ向かってくる。
僕はふと違和感を感じ、周りを見渡してみる。

タタタタタタタタタタタタタタッ!

気付いたら足音の数が増えていた。……そして、僕を囲む様な陣形をとりながら近付いて来る、ちぐはぐな連中が見えた。

……終わった

僕の心を、諦めの気持ちが支配し始める。



連中は懐やポケットから、スッと黒光りするもの……拳銃を取りだし、引金に手を掛けた。

「あなた達は一体……なんなんだ!?」

僕はそう叫ぶが、連中は『聞く耳は持っていません』とでもいうかの様に引金を引いてきた。

僕は、目を閉じる。


……



………



…………



……………



………………



パパパパーン!


実に景気のいい音が、路地裏に響き渡った。

「……はい?」

恐る恐る僕は目を開けた。すると……


『Happy birthday to ルーラー!』
と書かれた紙が、どの銃口からも飛び出していた。

いまだに呆然としている僕に、さらに声を掛けてきた。

「と、いうわけで……」


『ルーラーさん、誕生日おめでとうございますっ!』





   ―after story―


皆で暫くわいわいと騒いでいた所、ふと思った疑問を口にしてみた。

「企画自体はわかったけど……。ここ、どこ?」

………………

皆、沈黙している。

「……路地裏?」

「詠人、そうじゃなくてだな……。要するに、帰る道のりがわかるかって事だぞ」

「蒼羽、何故俺がそれを知ってると思う?」

「……はぁ。まぁいいか」

「結局……誰も知らない?」

僕の問いに、皆が頷いた。
どうやら、僕があそこで逃げるのは予定になかったため、道がわからなくなったらしい。

「……帰れるのかなぁ」

そうぼやき、僕達は帰り道を探し始めた……。


結局、僕が家に帰れたのは、その数時間後だった……
by rainbow-dice | 2007-10-01 22:53 | 創作物

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